三重バイオレットアイリス×TRANSISTAR|「世界を変える挑戦」(中)
昨シーズンから新体制となった三重バイオレットアイリス(以後、MVI)。
前回に引き続き、櫛田監督と梶原ビジネスマネージャーのお二人にお話を伺いました。
フィールドマネージャーとビジネスマネージャー

梶原 晃(三重バイオレットアイリス BM)1983年生まれ、愛知県出身。
名古屋南高校→レッド・スコーピオン→Sparta Munster(ドイツ)→TV EMSDETTEN(ドイツ)
2016年より三重バイオレットアイリス ビジネスマネージャーに就任。
東屋:海外のクラブチームの方が日本のクラブチームに比べるとビジネスに力を入れているのですか?
梶原:うーん、海外と日本がどうかって比較は難しいですね。日本のハンドボール界にはクラブチームがまだまだ少ないので。クラブって、当然向いてる方向とか規模にもよりますが、1企業として経営していくイメージだと思います。普通の会社と全く同じなんですよ。扱っているものがただハンドボールチームってだけで、どうやってお金を集めるか、商品を売るかは全く一緒です。
東屋:梶原さんは「ビジネスマネージャー(以後、BM)」という肩書きですが、具体的には何をやられているのですか?
梶原:ざっくり説明すると、(櫛田)監督はフィールドマネージャー(以後、FM)と呼ぶんですよ。いわゆる現場です。反対に現場以外の事、例えば運営でお金を集めたり、商品をどのように販売したりするのかを考えるのがBMです。一般的にその2つをまとめているのをゼネラルマネージャー(GM)と言います。
櫛田:FMは「お金を使ってでも強くしたい」、でもBMは「勝敗かかわらずクラブが儲かる仕組みを作らなければいけない」。つまり相反するわけよ。俺がMVIの監督に就任した当初はBMがいなくて、FMの俺がクラブの予算のことを気にしつつ、強くしていかなきゃいけなかったからずっと自己矛盾だったんやて。「この苦しいのは何でなんや!!!」って。(笑)
いろいろ調べたら、本来、相反する2つの要素をマネジメントするのをGMって言うんだよね。
当時は強くしたいのに、「遠征に行くとお金かかるよなぁ」とかばっかり気にしていたから。だったらビジネス専門の人を呼んで、俺は「監督業に集中しよう」ってシーズンの途中に思って。
東屋:じゃあここのポジションは一人しかいないと?
櫛田:(大きく頷きながら)そうそうそう。
梶原:今後、櫛田監督は「あれしたい!」「これしたい!」と言ってくると思うけれど、僕は「無理!できない!」って断るのが仕事です。(笑)
(一同爆笑)
梶原:僕も練習に参加して教えられるところは教えるし、逆に櫛田監督もいろんなアイデアをくれたりするし、「こうしよう」と言ってくれているので。
クロスする部分はあるけれど、現場は櫛田監督の責任で、ビジネスは僕の責任でやっています。
東屋:ちなみに日本のクラブで現場とビジネス部門をこんなにきっちりと分けて経営しているチームはあるのですか?
櫛田:他チームのことは分からないけれど、「BM」っていう肩書きが付くのは(梶原)アキラが日本で初じゃないかな?
俺は何となく肩書きを付けたわけじゃなく、今日のインタビューのように「なんですか?」って興味を持ってもらったり、「ビジネス」っていう概念をハンドボール界にも入れたくて。ここがハンドボール界に欠けている部分だと思っていた。
梶原:学生でもスポーツマネジメントを学びたい、やりたいって人はいるんですけど、野球やサッカーに行かざるを得ないというか。「ハンドボール界でやりたい」と思う学生たちの窓口になれれば良いですね。
「卑屈にならんで良いよ」

櫛田 亮介(三重バイオレットアイリス 監督)1977年生まれ、奈良県出身。
一条高校→中部大学→ホンダ→ ホンダ熊本→ESV Lok Pirna(ドイツ)→ TSV Weinsberg(ドイツ)→北陸電力
2015年より三重バイオレットアイリス監督に就任。
東屋:MVIの選手やスタッフ、サポーターの方の第一印象はどういったものでしたか?
櫛田:選手は「若いなー」って。平均年齢も男女で一番若い。あと、クラブチームだから本当にやりがいがあるっていう2つかな。
東屋:梶原さんはいかがですか?
梶原:試合を見て、他のチームとなんか違うなって。楽しそうにやっている感じがあるよね。
東屋:スポーツイベント・ハンドボール4月号の久保さんの記事にも書いてありましたが、MVIは楽しそうに試合をしていますよね。何か心がけていることはありますか?
櫛田:MVIに行った当初は修行をしている感じだった。練習を見ていてボールが転がってきたら「すいません!」って拾いに来るんやわ。「何も悪いことしてないのに、何ですいませんなの?」と聞いても「すいません!!!」って。(笑)
「普通、ボール取ってもらったらありがとうで良いんちゃう?」って。それをすごく覚えていて。
梶原:本当それ!(笑)
櫛田:「卑屈にならんで良いよ」と。「スポーツなんだから勝ち負けはあるし、楽しんでやったら良いんやで」ってずーっと言っていて、それが段々と浸透してきたのかな。ただ「楽しんでやる」っていうのと「ゆるく、あまくやる」っていうのは全く別のことやからね。「楽しく、厳しく、バイオレットらしく」というのは大切にしていきたいって思っている。
鈴鹿の象徴に

東屋 健太(株式会社ファーストフロンティア 代表取締役社長、写真左)1982年生まれ、秋田県出身。
羽後高校在学中にインターハイに出場。2013年にハンドボールブランド「TRANSISTAR」を立ち上げ、代表取締役社長に就任。
東屋:新シーズンへの意気込みをお願いします。
櫛田:方向性を曲げるつもりはないけど、何人か引退し、新しい選手も入ってくるから、今やっているベースを大事にして質を高めながらやっていきたい。
アキラが来て、クラブがはっきりこういう方向でやっていくっていうのがより具体的に出てくるから、クラブ全体のベースアップを監督として出来る範囲でやっていきたい。そしてそういうのを俺自身も楽しんでやりたい。
昨季、勝ち点1の差で逃したプレーオフに行って、日本一に絡んでいくっていうのが目標だし、それだけのポテンシャルを持っているチームだと感じているので、しっかり準備していきたいと思っている。
梶原:これから新シーズンになって自分が経験してないことが、どんどん出てくると思うけど、そういうのを全部楽しんでやりたいです。チームが楽しそうにやっているから、運営サイドももっとみんなで楽しみながら進みたいです。
「楽しそう」っていうのはMVIのキーワードだと思っています。僕らはクラブチームだから、地域の人たちとのつながりっていうのはものすごく大事。地域が笑顔になれる象徴として、鈴鹿でそういう存在になっていきたい。
スポンサー様にも「MVIと一緒にやって良かった」と思ってもらえるような仕組みを作っていきたいです。
東屋:2016/17シーズン、より強くなったMVIに期待しています。
※続きは来週に掲載予定です。
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